オブジェクト倶楽部クリスマスイベント 2007
毎年恒例のクリスマスイベント。今回はライトニングトークスのトーカとして参加してきましたが、いつもと同じ良い雰囲気の中、最後まで楽しませて頂きました。スタッフの皆様、参加者の皆様、ありがとうございます。
「アジャイル開発とトヨタ生産方式、そしてオブジェクト指向」: 平鍋さん
いつ聴いても平鍋さんのプレゼンは素晴らしい。個人的に気になったキーワードだけでもメモ。
- リーン物流、リーン建設…リーンって産業界ではかなり広く使われる概念(在庫をなくす)
- MMF(Minimum Marketable Features)
- 価値の流れ(from comcept to cach)
- 工程間のキュー(ムダ、作り過ぎ)を如何に削減するか
- 標準とは現場で作り現場で書き直すモノ。90年代は「標準の押し付けと管理」がトレンドだったが、アジャイルではそうじゃない。
- 一個流し: ソフトウェアであれば「価値ある feature の一個流し」
- セットベース設計・開発
- 再利用を先に考えると無駄が多くなる。むしろ変更容易性、テスト容易性を考えるべし。そのためのオブジェクト指向。
- 変わることがソフトウェアの本質
- オブジェクトは変更発生要因の単位
「形式仕様記述」: 酒匂寛さん
数年前からずっと取り入れたくてウズウズしていたテーマ…ではあるんですが、「それじゃどのようにすれば実際に現場に導入できるのか」についてもずっと悩んでいたテーマ。
今回はその辺りのコツをお伺いできるかと思ったのですが、現場での適用例の部分はちょっと駆け足になってしまいました。残念。今後公開される資料に期待ですね。
- 「問題の解決」と「問題の解法」
- 「問題の解決」:「うれしさ」の定義
- 「問題の解法」:「うれしさ」の創出
- 「問題の解決」と「問題の解法」の間を繋ぐための記述が「仕様」
- 妥当性の検証
- 「ビジネス → 課題 → 仕様」という流れにおいて、課題は複数の機能仕様に写像される。また、課題と仕様の間には妥当性の検証が必要。
- レビュー以外の検証方法とは何か(ここ、個人的にはとても大きなテーマ)
- 評価可能な品質 → 検証可能性
- 「課題 → 仕様」、「仕様 → 設計」、これらの間の整合性の保証の実現
- 設計の形式化の効果は低い。なぜなら、プログラミング言語そのものが形式的な存在だから。
- 事前/事後条件、不変条件は「どうやるべきか」のヒントにはなるが…
- 利用者の確認精度の向上: 必要に応じて形式に対する問い合わせが可能になる
- 仕様記述用のフレームワーク(仕様記述の基礎となるボキャブラリ)を最初に準備しておく。
- 仕様のコミットと、それに対する下流工程での作業量を収集しておくことによって、「仕様の増大がどの程度の作業を発生させるか」が見えるようになる。これは見積もりのベースとなる。
- 形式仕様には「行間」がないので、「Problem vs Us」を実現しやすくなる。自然言語で書かれた仕様(「文は人なり」)では、どうしても些末な部分で「You vs Us」になりがち。
本講演を聴いた人は、みんな形式仕様記述を実際の業務に取り入れたくなっちゃうんじゃないか…そんな気にさせられた内容でした。
「OO 厨厨トレイン」: オブジェクトの広場の皆様
「オブジェクト指向技術の現在・過去・未来」という壮大なテーマの講演。過去編では様々な懐かしい単語が出てきて嬉しかったですね。OpenDoc とか OpenDoc とかw。
単なる「歴史の取り纏めと紹介」に留まらず、「静的 vs 動的」という軸の元に内容を纏められていた力量に甚く感服。OOSE(振る舞い指向、動的)と OMT(型指向、静的)の間の違和感がようやく解消できました。方法論も言語もずっとこの 2 つの流れに収斂されるという結論(?)には考えさせられるものアリ。
ライトニングトークス
「日記駆動開発」というテーマでお話させて頂きました。粗末なモノ見せてすみません。
この手の局面ではあまり緊張しないほうなのですが、今回は本当に内容に自信がなく、直前までものすごい緊張の中過ごしてしまいました。実際に始まってしまえばどうってことないのに、スライドや内容に自信がないときはやっぱりダメです。そのためにもスライドや内容には「緊張する余地がないような」準備を行わなければならないのですが…。結果としてはトーカの予想以上に良い反応を頂けたようで、皆様に感謝です。
『Rails にしたら定時で帰れるって言ったのは誰だ?!』が私の中のベスト。「当たり前のことをきちんと行わなければ、どんな道具を使おうが炎上するのは当然」というテーマを聴衆に強烈にアピール出来ていたのが素晴らしい。何より、タイトルから掴み十分。
ワールドカフェ
従来と異なり、参加者全員によるワールドカフェというのが斬新。でもちょっと部屋が狭かったかな? 席の移動が行いにくかったのはマイナスかも。
どちらのテーブルでも、本来のテーマの前の自己紹介で盛り上がってしまったような…。一回目のテーブルでオーム社の方々から実際の編集スタイルについてのお話を伺えたのが興味深かったですね。
オブラブのワールドカフェは毎回参加するようにしているので、また次回も開催して頂ければと思います。