『文字の世界史』

先日の東京国際ブックフェアで購入したもの。本日読了。

文字の世界史

文字の世界史

「文字萌え」ならこの手の書籍には飛びつくだろうが、本書は他の「世界には貴方が知らないこんな文字もあるんですよ」的な内容には留まっていない。人間が他者に情報を伝達する手段としての「身振り」や「絵文字」から文字が生まれ、更に文字がどのような道筋を辿って現在の姿へと進化していったのかを、世界中の様々な文字を通じていきいきと描き出している。

マヤ文字や線文字 B の解読がどのようにして行われたかという下りは、初めてその過程を知ったこともあって思わず引き込まれた。特に線文字 B については興味が湧いたので、本文中でも紹介されていた『線文字Bの解読 (みすずライブラリー)』も読んでみたくなった。おや、『線文字B―古代地中海の諸文字 (大英博物館双書―失われた文字を読む)』なんてのもあるのか。

ちなみに、線文字 B は Unicode にもちゃんと含まれてる。「Linear B Syllabary」が音節文字で、「Linear B Ideograms」が表意文字。「線文字 B なんて変な名前だなぁ」って昔は思っていたけど、未解読の「線文字 A」、更には「象形文字 A」「象形文字 B」ってのもちゃんとあるんだね。