『对日汉语语音教程』

中国語の発音を学ぶ日本人に向けて書かれた教科書。北京語言大学出版社が出している書籍だけど、中国語と日本語の対訳形式なので、日本人にも安心。

本書は先日のブックフェアで見つけて入手したもの。第一単元の概説部分がとてもしっかりと書かれていたので、気になって購入した。一日かけてまず全編を通して読んでみたけど、これは大当たり。解説がしっかりしているのに加えて、日本人が陥りやすいトラップについてもその対処法を含めて丁寧かつ厳格に説明してくれている。ちょっと挙げてみるだけでも…

  • 日本語の声調は 2 音節以上になって始めて変化するので、日本語の類似の発音をベースに声調を理解するのは危険
  • 中国語に比べて、日本語の発音は全般的に低い。従って一声はかなり意識して高く発音しないとダメ
  • 日本語のネイティブは 2 モーラに発音すると必ず声調変化を起こすので、一声の発音練習では音を伸ばして発音することが大切
  • 「sh」は無声音、「r」は有声音
  • 「l」は側面音、日本語の「r」は弾き音
  • 「an」と「ang」を「あんない」と「あんがい」で区別するのは NG。「an」の「a」は前舌だが、「ang」の「a」は後舌

発音練習の教材も、ニ音節、多音節、簡単な文とバラエティに富んでいて面白い。全て一声の音から構成された文なんて、かなり意識しないとなかなか綺麗に発音出来ないって実感した。

残念なのは、教師の存在を前提にした書籍であるため、CD が附属していないこと。あと、音声学の用語を使って説明しているのは、人によっては取っ付きにくいかも。