新人向け部門研修で Word について 2 時間程語った話

新人が自分の部門に配属されて早一週間。部門研修の一環として、新人に対して Word の使い方を説明する場を設けた。とは言っても 2 時間程度なので、Word の膨大な機能を全て説明し切れるわけでもない。いろいろ考えて、次のような内容で説明した。

  • 文書を作成する上で大切なこと
    • 1 が見栄え。
    • 2 がメンテナンス性。
    • それらが揃った上で、初めて内容。
  • Word を使う上での最低限のマナー
    • Word は段落指向のソフトウェアだ。段落とは一つの改行文字までだ。
    • スペースやタブでインデントをしてはいけない。インデントはルーラーを使って行え。これは絶対だ。
    • スペースで間隔調整などを行なってはいけない。間隔調整が必要ならタブを使え。スペースで間隔調整を行なうために等幅フォントを使うのは愚の骨頂だ。
    • 箇条書きを「・」で代用する、段落番号を手で振るといった愚を犯すな。箇条書きや段落番号は、Word のそれ用の機能を使って行え。
    • 見出しが必要な場合は「見出し」スタイルで。そうすれば自動的に目次を生成することが出来る。目次を手で作成するような真似はするな。
  • Word の正しい初期設定
    • オートコレクトはほぼ全て切れ。
    • オートフォーマットもほぼ全て切れ。
    • 全ての特殊文字を表示しろ、ブックマークも表示させろ。
    • 他のアプリケーションからのペースト時には書式が保存されないようにしろ。
  • スタイル
    • 一からスタイルの設定方法を説明するのは 2 時間では不可能なので、「この文書テンプレートを使え」と説明。
    • 文書テンプレートを使えば、Word によるドキュメント作成は「書いて、スタイルを選ぶ」だけの作業となる。それ以上、外観に頭を使う必要はない。
    • 冒頭で説明した「インデント付け」や「箇条書き」なども、この文書テンプレートを使うだけなら忘れてもらって構わない。
  • フィールド
    • フィールドを使えば文書のメタ情報を文書内部に取り込める。
    • 最低限「Author」「Title」「Subject」程度は覚えてね。
    • 「DocProperty」を使えば自作のプロパティを取り込むことが可能。
    • フィールドは基本的に自動更新されない。更新したければ F9
  • ブックマーク
    • ブックマークを使うと、特定の範囲を「ref」で取り込むことが出来る。
    • ブックマークをうまく使えば、DRY が実現出来る。DRY 重要。超重要。

見ての通り、『エンジニアのためのWord再入門講座 美しくメンテナンス性の高い開発ドキュメントの作り方』の内容を 2 時間に無理に圧縮したような感じ。恐ろしく偏った内容だが、2 時間で Word を正しく使えるようになるためには、これ以外の方法はないように思う。本当はスタイルの設定方法をきちんと説明したいところなのだが、それだと少なくとも丸 1 日は必要なんじゃないかな。「見出し」スタイルに連番を適用する方法だけでも、ちゃんと説明すると結構大変だし。

でも、意外と好評だった。特にフィールドやブックマークについては、実際に試してもらうと「これは凄い!」と思ってくれたみたい。良かった良かった。

今回の内容に更に何かを追加するとすれば、こんな感じになるのかな。

  • 図表番号の振り方
  • 脚注の入れ方(「※」を使って本文中に注を入れてはいけない)
  • 相互参照
  • 描画キャンバス

実際には組織内でちゃんとスタイルを意識した文書テンプレートを用意していれば、Word は使うのも教えるのもごく簡単なツールになるのにね。それが出来ていないところは、目先のお手軽さで Excel 方眼紙に流れるんだろう。

ちなみに上記の通りに Word の説明をした後、Excel 方眼紙の実例を見せたら、全員が全員強烈な拒否反応を示してくれた。当然だよな。