今の日本ではこういう書籍しか売れないとするとかなり辛いものがあるんだけど
『JBoss徹底活用ガイド ーJava・オープンソース・JBoss Seam・JBoss AS』を読んだ。でも精読したんじゃないので以下の内容には漏れとか抜けがあるかも。
率直に言って…惜しい、かなり惜しい。執筆者の力量は問題ないのに、書籍の設計が全てを台無しにしちゃってるようで惜しい。「JBoss AS だけしっかり書きます 400 ページ」と「JBoss Seam 徹底的にやります 340 ページ」の 2 冊に分けるって発想はなかったんだろうか。
JBoss徹底活用ガイド ーJava・オープンソース・JBoss Seam・JBoss AS
- 作者: 皆本房幸/大沢隆義/大塚玲子/木村貴由/小林俊哉/脇坂茂明
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2008/02/19
- メディア: 大型本
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前半が JBoss Seam の解説、途中に JBoss jBPM と Drools の説明、残りが JBoss Application Server。これでトータル 340 ページ。いや無理があるってソレ。Seam 単独でもムリだし、JBoss AS 単独でもムリ。それに JBoss jBPM や Drools の説明まで入れちゃったもんだから、消化不良ぎみの状態になってる。
Seam については基礎から比較的丁寧に説明されているし、サンプルコードも多いから分かりやすい筈。多分「よ〜し、俺様今日から Seam で業務アプリケーション作っちゃうぞ〜」って人でも何とかなると思う。だけど Seam ってそもそも敷居高い(要求される事前知識大杉)し、Seam 単体でも考え方自体は結構複雑。本書だけだと現場で戦うのは厳しいはずなので、何らかのカタチで補足が必要だと思う。でないと
- 本書を読んで Seam をやる気になった
- 実際に現場で適用してみた
- ハマった
って感じで、途中で梯子を外される自称アーキテクトが何人も出そう。
あと、いくら簡単のためとは言え、最初から最後まで HSQLDB で行くのもどうかと。確かに HSQLDB なら説明はしやすい。でもプロダクション環境で HSQLDB はあり得ないから、早晩別の RDBMS に移行するはず。そのときにどうすればいいのって疑問に本書は答えてない。多分コラム一つで済むはずなのに、その辺りの気配りがないのは何故?。
jBPM と Drools の説明は余分。思い入れはあるんだろうけどこの説明じゃ雑誌レベル。ページ数が限られているのは明白なんだから、外す決断が欲しかった。
JBoss AS の解説は包括的だし分かりやすい。ただ、やっぱりページ数が少なすぎて掘り下げが浅いのが悲しい。jboss-web.xml の設定としては、リソースを「java:/comp/env」以下にマッピングする方法なども説明しなくちゃないといけないと思うんだけど(先日、同僚がハマってたばかりだったので)、そういうコトとかも抜けおちてしまっているのも残念。
でも JBoss ビギナーには分かりやすい内容のはず。そうだ、ここだけ 1,500 円とかで出せば良かったんじゃないのかな。そうすればプロジェクトでも一人一冊配れそう。うーん。
日本じゃ 3,000 円を切る書籍しか売れないのか? もっとしっかりと設計された書籍は出せないのか? しっかりした内容よりも、お手軽に読めるものしか捌けないのか? そう思わざるを得ないのが辛い。