『SEの文章術 (技評SE新書)』

次に執筆予定の書籍のネタ収集の一環として購入(ってまだ企画も通せてないのに…)。

SEの文章術 (技評SE新書)

SEの文章術 (技評SE新書)

「SE の文章術」というだけあって、SE という商売で最低限必要となる考え方やテクニックが分かりやすく纏められている。「文章力が必要な理由」や「システム開発におけるドキュメントの重要性」から始まり、具体的な例を挙げて「こういう文章はダメな文章だ」という説明、そしてドキュメントの構成方法や文章の構造の解説が続く。また、開発の現場で使われるドキュメント形式ごとに書き方の指南があるのも、「ドキュメントを書くのがどうしても苦手で…」という向きにはありがたいんじゃないかと思う。

読みやすさについては文句の付けようがない。エンジニアとしてのキャリアが 3 年目くらいまでの若手にはお薦め出来る一冊となるだろう。ただ、書いてある内容はごく当たり前の話。少なくとも日々考えてドキュメントを作成している人間や、文章の書き方についてのしっかりした書籍を読んでいる人間には、あっさりしすぎていて物足りないはず。イイ歳して本書の内容にいちいち頷いていたり、「目からナントカが落ちました」とかだと…いや他人事ながらちょっと心配。

個人的に気になったのは、漢字をひらがなへ置き換える例。たしかに漢字とひらがなの比率は大事だが、「曖昧性をなくす」や「対象業務にでてくる」といった書き方は、ちょっと幼稚すぎて頂けない。また、SE が書くドキュメントの構造として、起承転結系の書き方は薦めるべきではない。本書中の起承転結構造はさすがに綺麗に纏められているが、起承転結系の書き方では澤田先生が名著『論文の書き方 (講談社学術文庫)』で喝破されたように、「何が幹線になっているかわからない」ドキュメントが量産される恐れが高いからだ。

とは言え、「文章の書き方」系の書籍は読むたびにいつも何か新しい発見があるもの(実は「発見」ではなく、以前に読んだ内容を再度思い出すだけなのかもしれないけど…)。今回だと「行い言葉は NG」というキーワード。いや、コレついついやっちゃうんだよなぁ…。気をつけなくちゃ。