IT史に輝く「すべったテクノロジー」ベスト25[前編:25〜11位]

ComputerWorld の記事。読むだけでいろいろなことが思い出されて感慨深い。

ここに挙げられている「すべった」モノたちの時代は、私自身がコンピュータというものを使い始めてから今日に至るまでの歴史にちょうど重なっている。せっかくなので、ちょっと気になったモノたちを勝手に振り返ってみよう。

22 位「OpenDoc」

コードネームとドキュメントフォーマットそのものの名前が「Bento」ってことだけは強烈に覚えている。IBMAppleNovell の 3 社がやっていたことも覚えている。漢字 Talk 7.5 のインストール時には、もちろん追加インストールで OpenDoc を選んだ。CyberDog(OpenDoc をベースにした Web ブラウザは「さいばどくん」なんて言われて、一部の熱狂的な Mac ユーザにもてはやされたもんだ。

ある意味 OpenDoc の前身とも言える、System 7 から登場した新機能「発行と引用」(Publish & Subscribe)にも夢を抱いた。殆どのアプリケーションが対応していない中、対応していたソフトをわざわざ選んでこの機能を使ってた。統合ソフトウェア*1と言えばクラリスワークスだった時代に、「発行と引用」とアウトラインプロセッサが利用できるということで Symantec の GrateWorks を選択して周りから「何でそんなマイナーなもの使ってんの?」ってバカにされた覚えがある。優れた(と自分が思った)技術に夢を抱くのは、今も昔も変わってない > 自分。

20 位「Copland」

あの頃の IBMApple の協業と言えば、Copland、OpenDoc、そして Pink なんてキーワードが思い浮かぶ。当時は誰もが「System 8」になるはずだった Copland、そして System 9 になるはずだった「Gershwin」に、Mac の輝かしい未来を見ていた。遅れに遅れて登場した System 8 は「Mac OS 8」なんて胡散臭い名前になって*2、しかも System 7 から何一つ進化していなかった。Apple が出したマガイモノを喜ぶ Mac ユーザにもがっかりした。

結局、私自身は Libretto 50 を買って Linux を使い始めるようになった。重たい PowerBook にも嫌気が差していたからちょうど良かった。軽い Mac が出たらまた Mac に戻ってもいいかなって思ったけど、やっと登場した PowerBook 2400c は「何でこんなものに熱狂できるのか!!」って思ったほどの代物だった。

妻の Mac でようやくマトモに Mac OS 9 を見たとき、Apple は何をやってたんだってがっかりした。結局、Mac OS は X になるまで本質的な進化はなかったんだなぁってことに気付かされた。

今は Mac を使っているし、NeXT の遺産である Mac OS X も喜んで使っている。でも、Copland に抱いていた青臭い熱狂感はどこにもない。

19 位「GNU Hurd

あー、一応まだ待ってます。待ってるだけですけど。

18 位「Oracle Raw Iron」

そんなものより、NC(Network Computer)はどこに行ったんだ? どこかの大学で大量導入したって話は NC 登場直後に聞いたんだが…。私が知らないだけ?

16 位「Apple Newton」

ちっとも発売されないので、待ちきれずに Zaurus を購入した。PI-3000、PI-7000、カラポケ(Zaurus Color Pocket)*3と 3 台も使ったけど、「Linux 搭載!!」とかってころから興味がなくなった。元々手帳を使わない(し、今も持ってない)のに Zaurus を使い続けていたのは何でだったんだろう。

Zaurus で一番気に入っていたのはカラポケ。バックライトではなく、液晶の前から光を当てて暗いところでも表示内容を読み取れるようにするという「フロントライト」が売りだった。カラーなのにバックライトなしということで発色性には難があったけど、日光の元でも見やすく、乾電池稼働可能という低消費電力に「ホンモノ感」を見た。

あー、そういや Newton ですか。実物の Newton を見たときに、「Zaurus にしといてよかったなぁ」としみじみ思ったのはここだけの秘密にしといて下さい。

14位「Netscape 6」

個人的には Netscape で初めてまともに CSS が使えるようになったこの製品には格別の思い入れがある。でもそうか…世間的には「すべった」扱いなんだなぁ。

個人的にすべったと思うモノ

気になったモノの殆どが Mac 関係になっちゃったけど、Mac 関係だったらまだまだ出せるなぁ。

  • CHRP(Common Hardware Reference Platform): CHRP が現実になれば、Mac 一台で WindowsSolaris も使えるようになるんだー、って変な夢を抱いてたことが走馬灯のように(以下略)。
  • PowerTalk: あの頃の Apple は何でも「〜Talk」だった。QuickTime だって、一歩間違ったら「MovieTalk」だったらしい。でもあの頃の私は、Apple がやることには何でも夢を抱いてた気がする…私の中のコンピューティングの全てが Apple に向いていたからか?
  • QuickDraw GX: 「Inside Macintosh」シリースとして、やたらと QuickDraw GX の資料が売られていたことくらいしか覚えてないけど。

*1:って、今やこの言葉そのものが死語

*2:そもそも「Mac OS」という呼称は、Mac 互換機ビジネスのために付けられた名称

*3:Zaurus Color Pocket」という変な名前は、その前に出して思いっきりすっ転んだ初のカラー液晶搭載 Zaurus「Color Zaurus」の呪いだ、って話がまことしやかに流れた。