アジャイルとアドホックの間

来週、監訳者のお二人にお会いする機会があるので、泥縄的に『アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣』を読み始めた…が、まだ半分も読んでないっつーのに耳が痛いコトが沢山で海より深く反省。

アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣

アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣

自分自身もそうだけど、「アジャイル」を標榜していながら実際には「アドホック」なプロジェクト運営しかなされていないプロジェクトの何と多いことよ。「アジャイル」という金科玉条を振りかざせば「あれもしなくていいよ、これは余計な作業だよ、そんなことは今やらなくてもいいよ」という怠慢に対する言い訳が簡単に手に入ることに味を占めた開発者の何と多いことよ。本人は変化に対応しているつもりなのに、実は単に変化に流されてしまっているだけの人間の何と多いことよ。

…などというという弁はともかく、本書は正しく現場から生まれた金言集として、限られた期間内で最大の成果を出さなければならない立場の人間全てに薦めたい。「遵守は成果ではない」(ISO 9001 に裏打ちされたプロセスを元に人を溺れさせる救命胴衣を作ってしまう話)や「全会一致でラクダが生まれた」(合意を取り付けている過程で、馬が必要なのにラクダを出しちゃった)のようなコラムにさえ様々な知見が鏤められているにも関わらず、語り口(翻訳も!!)が軽妙で楽しく読める。

否応無しに自己を振り返えらされるのかと思うと、残りを読み進めて行くのがちょっと辛い。でも「始めるのに偉大である必要はない。だが、始めなければ偉大にはなれないんだ」を心に留めて、一つ一つ実践していこうと思う。